「教材からのトレーニングTips」
byヴラディミア・ヴァシリエフ

複数の相手に対するワークは、精神的にも肉体的にも、挑戦となります。

システマには、（攻撃者及び自分の感情など）外部と内部の相手をコントロール下に置くことの手助けとなる、いくつかの簡単な理解すべき事と練習方法があります。

- 最初に取得べきスキルは、攻撃のラインから外れることです。脅威が向かってくるときに、フリーズしてしまわないことを学ぶ事が重要です。
- 二人以上の相手に対するワーク経験が豊富でない場合、相手を常に視界内に入れようとするでしょう。恐怖とテンションが、攻撃者に背中を向けることを妨げることに気がつくでしょう。
- このトレーニングの初期段階では、パートナーに自分に向かって歩いてもらい、接触をせずにどいてください。呼吸し続け、動き続けるようにしてください。
- 楽になって来たら、相手に背を向けたりしても構いません。
- システマの訓練をしていくに従い、相手の数、位置、攻撃の種類、または武器に関わらず、どのような状況をも、よりコントロールできるようになります。

このドリルには、更なる発展もあります。

- 最初は、パートナーに通常の速度であなたに向かって歩いてもらい、次はより速く、そして、最終的には走って向かってもらいます。
- この速度の発展は、速度が増すにつれて、恐怖や動作制限も増していくことを確認させてくれます。目標は、このことを認識することです。
- あなたの反応との調整への課題となるようなストライクや、自分からのストライクによる反撃ではなく、単に相手が近づいてくることによる制限にのみ注目してください。

リダイレクト（方向を変える）

相手があなたに向かって来て、ストライクやキックしてくる場合、有効な手段の一つは、お互いを当ててしまうように、相手の攻撃をリダイレクトすることです。一緒に攻撃（ワーク）しているはずなのに、その都度仲間にヒットされることを想像してみてください。精神的に、予想外のことでフラストレーションの溜まることでしょう。その結果、仲間／共同攻撃者の間に摩擦が生まれ、いわゆる共通の「敵」としてお互いを見る様になります。そのため対立を分散させることができます。

- リダイレクトは、ストライクを放つより、少ない労力を要します。それゆえ、あなたが疲れているか、負傷されている場合に有効です。
- 攻撃者にとって予想外の動きをすると、あなたの動きは効果的になります。
- すべての動きは、滑らかで連続的で、ひとりのパートナーから次のパートナーへ安定して流れていかないといけません。
- 速さを少しずつ上げていくことと、落ち着きとコントロールを保つ事は、トレーニングにおいて非常に重要です。
- ここで注意しておきましょう。ワークが速い場合、”仲間の攻撃”に攻撃者が晒される危険が増加します。速いリダイレクトによって、仲間の攻撃者は、互いから予想外で意図しないストライクを容易に受けてしまいます。怪我につながり得ますので、リダイレクトの練習をする際には気をつけてください。
- システマの基本は、いかなるスタンスもなく、恐怖や緊張することなく、普通で自然な姿勢をとることです。あなたがそれを維持することができるならば、相手は、あなたを恐れず、より近づいてきます。彼らは、予想外のアクションへの準備が少なくなります。そのため、より相手をコントロールできるのです。

このトピックの内容は、DVD「Beat The Odds」 においてより紹介されています。

英語版はこちらをご参照ください。