スティックでの“捕縛”

March 05, 2008 by Vladimir Vasiliev  
トレーニングTips日本語版第2弾をお送りします。今回は「スティックでの“捕縛”」。先日のモスクワセミナー参加者にはかなりタイムリーな内容かと思います。最終日のスティック・ワークのクラスでミカエルはセミナー参加者を次から次へと“縛り上げて”くれました。かくいう私もやってもらいまして、ほんとうに身動きが取れなくなってしまったので、びっくりです。

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-達人技- スティックでの“捕縛” by ヴラディミア・ヴァシリエフ 2008年3月5日原文掲載

これはおよそ20年前、ロシアでの出来事です。私は友人とともにミカエル・リャブコのクラスに参加していました。そのクラスは、あらゆる攻撃を仕掛けてくる生徒達に対し、ミカエルが驚くほど多様で自然な防御を披露する、という形式。とても痛い目にあわせられるので、私たちは攻撃の道具として滅多にスティックを選ぶことはありませんでした。しかしある午後、ミカエルのクラスに参加するのは初めてと思われる男性が、スティックを持ってミカエルに向かっていきました。すると、いくらか動いた後に、ミカエルは彼をスティックで縛りあげてしまったのです。まさに“縛りあげた”と言うのがふさわしい状態でした。その男性はスティックを両手に持って仰向けに倒され、手を放すことも、立つこともできなかったのです。

彼は傷つけられたり、関節をねじり上げられたりしているわけでもありません。しかし、完全に制されてしまったかのように、全く動くことができなかったのです。これはミカエルのクラスで起きた、たくさんの小さな奇跡の一つです。とても信じられない出来事でしたので、これが記録されなかったことをたいへん後悔しました。

しかし年月とともにこの事を忘れてしまい、もしかしたら自分の空想だったのかもしれない、と思ってしまうようになってしまいました。そして2000年、親友にして恩師でもあるミカエルが、トロントにある私のジムにセミナーのため訪れました。セミナーの前夜、私たちは古き良き日々の思い出と、いくつかの面白い出来事について語り合いました。するとその翌日、ミカエルはセミナーで同じようなデモンストレーションを再び見せてくれたのです。

その時はある警察官が相手を務めました。彼はシステマを始めたばかりでしたが、豊かな実務経験を持っており、身体も強く、システマの有効性についていささか疑問を抱いていたのです。彼はミカエルに向かっていきました。そしていくらかの動きとほんの少しの接触の後に、ミカエルは彼をとても不自然な姿勢で仰向けに寝かせました。腕と足は曲げられ、捻られ、見るからに不快な姿勢でした。 ミカエルは彼の側を離れます。男性が立ち上がったり、より自然な姿勢へ動いたりすることを妨げるものはなにもありません。しかし、男性は自身が奇妙な姿勢にありながら、とてもリラックスし、快適であることに驚いているようでした。

セミナーの参加者は驚き、彼の周りに集まりました。床に横たえられた彼は、話したり、まばたきをしたり、少し手を動かしたりすることは出来ましたが、身体は固定されてしまっているので大きな動作をすることが出来ません。いかにも窮屈そうであるにも関わらず、喜び、リラックスしているようでした。

居合わせた人達から発せられた、「何が起きたのですか?」との問いに、ミカエルはこう答えました。「frozen(硬直しているのだ)」と。さらに、もし私たちが彼をひとり残して去ったなら、彼は自身の内側へと引きこもっていき、立ち上がろうとしなくなるだろう、とつけ加えました。そして数分間の質問や感想、そしてジョークのお陰で、その男性は徐々に動き出し始めました。

その時、彼はまるで新たな身体の動かし方を探しているかのように、筋肉の動きを確認していました。ミカエルは彼に向かって微笑みかけ、残りのセミナーを極めて「平凡」に教えました。

スティックで“縛る”ことに関連する一連の出来事について、振り返ってみましょう。私は何年にも及んだ軍隊生活の中で、ロープや鎖、ベルトといった効果的な拘束具を見てきました。スティックももちろん使われますが、たいていはロープや衣類と組み合わせて使われました。例えば、両腕を横にあげて固定する時に、スティックを袖の中に通し、手首を縛ります。

または座っている時、スティックを膝の下に通し、両腕もスティックの下に通して、肘を曲げ、手首を上げさせて縛ります。これらの全ては理解できますし、使用する事もできます。しかし、相手に苦痛を一切与えず、スティックだけで拘束することを想像してみて下さい。私はそれを過去に目撃しました。そして今回は撮影に成功したのです!

皆さんご存知の通り、私とミカエルは2007年10月、国連より要請されてシステマを披露しました。このプレゼンテーションは成功し、その後にミカエルはニューヨークのマンハッタンにある、FightHouseというシステマ・スクールでセミナーを行ったのです。関心の集まったトピックの一つに、スティックが含まれていました。スティックによる防御はすでに発売されたDVDで紹介されていましたので、参加者達はスティックを用いた、より攻撃的な戦略を知りたがっていたのです。

そこで再びミカエルは、みなを驚嘆させました。彼は手や指、そして手首をスティックで操るエクササイズから始めました。スティックを直接扱う部位は指と手首ですので、エクササイズはまずそれらの部位から始まり、徐々に他の筋肉へと及んでいきます。簡単な例として、リラックスした状態を保ちながら緊張する事なく手を力で満たすドリルや、どのようにして動きに必要な筋肉だけを緊張させるのかを見せてくれました。

彼はスティックやスティックに似たあらゆる武器(例えば剣など)を使う上でもとても実践的で楽しいエクササイズを、一人で行うものと、パートナーとともに行うものの両方を行いました。簡単なものから、例えば手首だけでより繊細でより強力な作用をもたらすような、よりやりがいのあるエクササイズへと徐々に進行していきました。これらのドリルと技術は全て、“武器を使いこなす”という最終的なゴールに達するために選び抜かれていたのです。

そしてセミナーが終わる頃、何も特別な準備や告知をすることなく、きわめてさりげない様子でミカエルは一人の参加者をスティックで“縛りあげ”ました。

学んだドリルのうちの一つに、スティックを掴んできた相手をコントロールする、というものがありました。この男性はミカエルのスティックを掴むと、わずかな動きによって曲げられた自分の足の上に捻られるようにして仰向けに寝かされ、片方の腕はスティックを掴んだまま持ち上げられつつ捻られ、完全に動けなくなってしまいました。

ミカエルは棒を手離して、距離をおきました。彼は、片手で握ったスティックが体を横切り、それに押さえ込まれるような状態で寝ころんでいました。もう一方の自由な手を使って、何度か起き上がろうとしましたが、それもうまくいきません。彼は、ミカエルが足の底を軽く蹴って“解除”するまで横たえられていたのです。

この瞬間を、新DVD「Stick Seminars」でお楽しみ下さい。

オリジナルはコチラです。

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s_R0023222.jpg 立ったまま“縛られ”てしまった、システマジャパンのYさん。記事中では相手を倒してから縛ってますが、セミナーでは立ったまま生徒達を縛っていました。写真だと分かりづらいのですが、Yさんはこの状態で上半身を固められしまって、指を解くこともできないのです。そんな状態のYさんを触ってみると腕から指までがガチガチ。呼吸をする事で徐々に自力で解除していました。今回のセミナーで学んだ内容の延長でできるはずなのですが…

Vladimir Vasiliev Born in Russia, Vladimir Vasiliev received intense combative training and profound Systema training from Mikhail Ryabko. Vladimir moved to Canada, and in 1993 founded the first school of Russian Martial Art outside Russia - Systema Headquarters.

He has since personally trained and certified well over 700 qualified Russian Martial Art Systema instructors and schools in over 40 countries worldwide, and has produced an Award-Winning instructional film collection. Vladimir holds a number of government medals and awards including the Russian "Order of Duty and Honor" and the "Order of Loyalty". He offers regular training at his school in Toronto, at international seminars and camps, and through the Systema Video Program.